降圧剤と桃核承気湯の考え方の違い

高血圧は本来は生活習慣によって改善していくのが望ましいと言えます。しかし二次疾患のリスクが高い場合や、生活習慣では簡単に治らない場合には、降圧剤による治療が行なわれます。降圧剤にも色々な種類があり、体質や病歴によっては合わないこともあるので、慎重に選ばなければなりません。薬の作用としては、尿量を増やして血液全体の量を減らすもの、血管の細胞に作用して収縮を弱めるもの、自律神経に作用して血管の緊張を緩和するもの等が挙げられます。いずれも血圧を直接下げる効果を持ちます。
東洋医学では高血圧の症状を緩和する薬として、桃核承気湯が用いられます。この薬は女性の月経不順や腰痛・便秘などにも処方されます。桃核承気湯は1種類の薬ではなく、桃仁や大黄など複数の生薬を組み合わせたもので、のぼせやすく体力のある人に向いています。桃仁や大黄には血管拡張作用があり、汚れて滞った血の流れを改善するとされています。
降圧剤と桃核承気湯の違いは、西洋医学と東洋医学の考え方の違いと言えます。西洋医学では薬物の作用を細かく分析し、さまざまな方向から目的の達成を試みます。降圧剤で言えば、血圧を下げるという目的で、薬理のまったく異なる複数の薬を使います。東洋医学では人間の体を全体として捉え、患者に合わせて薬を調合します。ひとつひとつの薬の作用を分析するよりも、患者の体との相性を問題にします。桃核承気湯は血圧を下げる薬というより、高血圧に伴う頭痛や肩こりを改善する薬として用いられます。このような違いがあるため、即効性を求めるなら降圧剤で、体質改善を目的にするなら桃核承気湯で、という使い分けをするのもひとつの方法になるでしょう。